
「お薬をもらっているけれど、それ以外にできることはないの?」
「リハビリって、本当に効果があるのかしら?」
診断を受けた後、病院のお薬だけでは不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。 私も60代になり、体のちょっとした変化に敏感になる年齢です。ましてや病気となれば、一日でも長く、自分らしく過ごしたいと願うのは当然のことですよね。
現在の医学では、残念ながらこの病気を根本から治すお薬はまだありません。 でも、だからといって「何もできない」わけではないんです。
今日は、お薬以外の方法で症状を和らげ、生活の質(QOL)を保つための具体的な工夫について、医学的な資料をもとにお話しさせてくださいね。
1. 「動くこと」が何よりの薬になります

「ふらつくから怖い」とじっとしているのが一番良くない、というのは皆様も耳にされたことがあるかもしれません。 実は、リハビリテーションにはお薬と同じくらい、いえ、時にはそれ以上の効果があることがわかってきているんです。
1-1. 4週間の集中リハビリで変わる
資料によると、4週間ほど集中的にリハビリを行うと、ふらつきや歩く速度が改善し、その効果が半年から1年くらい続くというデータがあるそうです。 これは、動くことで脳の神経回路が刺激され、弱った機能を補おうとする力が働くからなんです。
1-2. ご自宅でできる「重り」の工夫
手が震えて字が書きにくい、お箸が使いにくい……そんな時は、手首に少し重り(リストバンドなど)を巻いてみてください。 不思議なことに、適度な重みがある方が震えが収まり、動作が安定することがあります。 また、弾性包帯やガードルでお腹周りや足の付け根をキュッと締めることも、体の揺れを抑えるのに役立ちますよ。
1-3. 最新技術の力も借りて
最近では、ロボットスーツHAL®を使った歩行練習も注目されています。 自分の「歩きたい」という意思をロボットが助けてくれるので、脳が良い歩き方を思い出してくれるきっかけになるそうです。
2. 道具と環境を味方につけましょう
「できない」と諦める前に、道具を変えてみるのも一つの手です。 ほんの少しの工夫で、驚くほど生活が楽になることがあります。
2-1. 転ばないための環境づくり

家の中での転倒は、骨折して寝たきりになる大きな原因です。 手すりをつけるのはもちろんですが、ふらつきが強い場合は、一点で支える杖よりも、地面につく面が広い多点杖や、歩行器を使うと安心です。 靴も、足首までしっかり支えるハイカットのものや、インソール(中敷き)を調整するだけで、踏ん張りがきくようになりますよ。
2-2. 食事を楽しむための道具
震えがあっても使いやすい、柄が太くて曲がるスプーンや、すくいやすいお皿なども市販されています。 また、肘をテーブルについて脇を締めると、手の震えが伝わりにくくなって食べやすくなります。
3. 「食べる楽しみ」を守るために

飲み込む力が弱くなると、食事の時間が怖くなってしまいますよね。 でも、これも工夫次第で安全に楽しむことができます。
3-1. 誤嚥(ごえん)を防ぐコツ
サラサラしたお茶やお水は、実は一番むせやすいんです。とろみ剤を使ったり、ゼリー状にしたりすると飲み込みやすくなります。 食べる時の姿勢も大切で、少し顎を引いて(おじぎをするように)飲み込むと、気管に入りにくくなりますよ。 冷たいものや味のしっかりしたものは、喉の感覚を刺激して飲み込みスイッチが入りやすいので、食事の最初に取り入れるのもおすすめです。
3-2. 体力を落とさない栄養管理
痩せてしまうと体力も落ちてしまいます。食事が思うように摂れない時は、少量でもカロリーが摂れる栄養補助食品(ゼリーやドリンク)を上手に活用して、エネルギー不足を防ぎましょう。
4. 立ちくらみやトイレの悩みへの知恵
特に多系統萎縮症の方は、立ちくらみ(起立性低血圧)やトイレの悩みを抱えがちです。
- 立ちくらみ: 急に立たず、一度座って足踏みをしてからゆっくり立つ。弾性ストッキングを履くのも効果的です。
- 寝る時: 夜、トイレに起きる回数が多い方は、寝る時に頭を少し高くして(ギャッジアップして)寝ると、夜間の尿量が減り、翌朝の立ちくらみも軽くなることがあるそうです。
5. まとめ
お薬(標準治療)はもちろん大切ですが、リハビリや生活の工夫を組み合わせることで、今ある機能を守り、症状を和らげることは十分に可能です。
「もう歳だから」「病気だから」と諦めず、主治医の先生やリハビリのスタッフさんに「こんなことで困っているんだけど、いい道具はないかしら?」と相談してみてくださいね。 あなたらしい毎日を、一日でも長く続けられますように。
脊髄小脳変性症の鍼灸外来
一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。
足部の温度変化を確認する検査の一例
「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」
「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」
私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。
当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。
脊髄小脳変性症の方では、
ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、
手足の温度分布に左右差が見られることがあります。
その一致を一緒に確認することで、
「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。
この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはまずありません。 感覚や印象だけに頼らず、今の体の状態を落ち着いて見つめたい方のための情報提供の場として、 ご相談をお受けしています。
参考文献
この記事は、以下の資料に基づき作成されました。
- 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018(南江堂)
- すべてがわかる神経難病医療(中山書店)
- 小脳と運動失調(中山書店)
- 脊髄小脳変性症マニアル決定版!(日本プランニングセンター)
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