網膜色素変性症の進行を遅らせ、残されている視機能をできるだけ長く保つ(保存的治療・セルフケア)ための具体的な方法として、資料には以下のアプローチが挙げられています。
1. 光刺激からの保護(遮光眼鏡・日常生活の工夫)
専用遮光眼鏡(サングラス)の着用: 紫外線や短波長の光(ブルーライト)は網膜の視細胞に大きな負担を与えます。遮光レンズや専用サングラスを装着して光の刺激・障害を防ぐことが、病状の進行抑制やまぶしさ(羞明)の緩和のために重要とされています。
目への刺激・負担の軽減: 屋外では帽子を着用するほか、パソコンやスマホの長時間の近距離使用を避け、定期的に遠くを眺めて目を休めることが勧められています。
2. 食事・サプリメントによる栄養補給
抗酸化物質(ルテイン・ゼアキサンチン): 活性酸素を消去し、ブルーライトを吸収して黄斑部や網膜を守ります。ブロッコリーやほうれん草などの緑黄色野菜やサプリメントから摂取できます。
オメガ3系脂肪酸(DHA・EPA): 抗酸化作用により網膜の視細胞を守り、血流を促す働きがあります。青魚などに豊富に含まれています。
ビタミン類: 視細胞の保護や変性抑制に関与するビタミンA、血流を改善するビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB12、ビタミンEなどの摂取が挙げられます。
3. 薬物療法・漢方薬
漢方薬: 網膜の炎症を抑える「柴胡剤」や、血流の滞りを改善する「駆瘀血剤」の投与が初期の進行抑制に有効とされています。
従来薬・保存的薬物: ヘレニエン(アダプチノール®)やビタミン製剤、ATP製剤などが用いられてきたほか、併発する緑内障に対して眼圧を下げる点眼薬が使用されます。
神経保護・代謝修飾薬(治験・研究段階): カルシウム拮抗薬(ニルバジピン)による視細胞保護効果や、抗酸化物質(N-アセチルシステイン:NAC)、エネルギー代謝をサポートする分岐鎖アミノ酸(BCAA)などの内服研究が進められています。
4. 合併症の早期発見と適正治療
白内障や緑内障、類嚢胞様黄斑浮腫(CME)などを併発すると急激に視力が低下することがあるため、早期に手術や適切な薬物治療を行うことで余分な視力悪化を防ぎます。
5. 血流改善と生活習慣
- 完全禁煙: タバコのニコチンによる血管収縮や血流障害は網膜への酸素・栄養供給を阻害するため、禁煙が不可欠です。
- 血流促進と適度な運動: 手足のマッサージや目を温めること、適度な運動によって全身および目の周りの血流を良くすることが大切です