網膜色素変性症|東洋医学のアプローチ

東洋医学(中医学)における網膜色素変性症へのアプローチは、「眼局所の病変だけを見るのではなく、体全体のバランスや自然治癒力を高めることで残された視機能を守り・生かす」という根本思想に基づいています。

文献に記載されている東洋医学的な考え方や治療の具体像は以下の通りです。

1. 根本的な考え方(病因病理)

「眼は結果であって原因ではない」「眼は肝にあり、眼は腎にあり」:東洋医学では、目を単独の臓器として捉えず、内臓(特に「肝」と「腎」)の働きや気・血・ホルモンの巡り、全身のバランスが崩れた結果として目に症状が現れると考えます。

精血と目の関係:目は「肝血」と「腎精」による滋養を必要としており、これらが不足すると目のかすみ(目昏)や暗い場所で見えにくくなる夜盲(雀目)が生じると捉えます。

「将死不死(しょうしふし)」の細胞へのアプローチ:病気の進行により完全に死滅した視細胞を戻すことは困難ですが、「まさに死に瀕しつつも生き残っている視細胞(将死不死の細胞)」に着目します。全身の血行促進や栄養補給によって、これらの細胞の自然治癒力を助ける(応援団としての)治療を行います。

先天と後天の調和:遺伝的要因(先天の気)による陰陽の崩れに対し、後天的なアプローチ(後天の気)を補うことで全体の調和を取り戻そうと試みます。

2. 体質や病態に応じた分類(弁証)

東洋医学では、患者個人の全身症状や体質に合わせてタイプ分け(弁証)を行い、治療方針を決定します。

① 鍼灸治療(ツボと手技)

目周囲・頭部のツボ:睛明(せいめい)、承泣(しょうきゅう)、球後(きゅうご)、攢竹(さんちく)、風池(ふうち)、天柱(てんちゅう)、百会(ひゃくえ)などを用い、網膜や脈絡膜の微小血流の改善や神経刺激を図ります。

全身・四肢のツボ:合谷(ごうこく)、足三里(あしさんり)、三陰交(さんいんこう)、太衝(たいしょう)、光明(こうめい)、肝兪(かんゆ)、腎兪(じんゆ)などを用い、全身の気血循環や内臓機能を整えます。

特殊な灸・刺鍼法

梅花鍼(ばいかしん):頭部や首筋、目の周囲を軽く叩いて刺激を与える手法。

クルミ殻灸:生薬の液に浸したクルミの殻を目の上に置き、その上からモグサで温める伝統的な灸法。

頭皮鍼:頭部の反射区に刺激を与える手技。

② 漢方薬・生薬

網膜の微小な炎症や血管炎を抑える「柴胡剤(さいこざい)」や、滞った血流を促す「駆瘀血剤(くおけつざい)」(当帰、川芎、丹参などを含む処方)が初期の保存的治療として活用されます。

目に良いとされる枸杞子(クコの実)などを日常の食事や薬膳に取り入れることも勧められます。

③ 中国での「5つの総合治療」例

中国の専門病院などでは、「鍼灸」「漢方薬」「推拿(中国式整体・マッサージ)」「薬膳(食事療法)」「太極拳・気功」の5つを組み合わせ、全身の微小循環と自然治癒力を底上げする総合アプローチが行われてきました。

4. 位置づけと期待される効果

東洋医学的アプローチは、病気の遺伝的根源(遺伝子変異)そのものを消し去る「完治」を目的とするものではありません。

しかし、網膜の血流量を増やして毛様体や視細胞への栄養供給を助け、目疲労の緩和や残された視機能の保持・進行遅延を図る「保存的・対症的ケア(QOL向上)」として一定の役割を果たしています。

この記事を書いた人

院長 / 吉池 弘明

お医者様の治療法が確立されていない難病の鍼治療に取り組み40年。 悪化や進行の原因になることが多い自律神経異常を、お医者様とは異なる検査【医療用サーモグラフィ】で、のべ25万人を検査する。 全国から検査を希望する患者様の来院が絶えず、日々新たな治療法を模索し続けている。 「はり・きゅうの日生まれ」61歳。

院長 / 吉池 弘明

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お医者様の治療法が確立されていない難病の鍼治療に取り組み40年。 悪化や進行の原因になることが多い自律神経異常を、お医者様とは異なる検査【医療用サーモグラフィ】で、のべ25万人を検査する。 全国から検査を希望する患者様の来院が絶えず、日々新たな治療法を模索し続けている。 「はり・きゅうの日生まれ」61歳。

院長 / 吉池 弘明