
脊髄小脳変性症の初期症状|「もしかして?」と感じた時に知っておきたいこと
脊髄小脳変性症という病名を聞いて、あるいはその兆候を感じて、不安な気持ちでインターネットを検索されていることと思います。
この病気は、長い時間をかけて付き合っていく必要があるため、「最初にどのような行動をとるか」が非常に大切です。
私たちは40年前から、この病気専門の治療に携わってきました。 これまでに拝見してきた患者様は延べ72,000人にのぼります。
その膨大な経験から断言できるのは、「初期の段階で、いかに正しい対応ができるか」が、その後の10年、20年の生活を大きく左右するということです。
このページでは、教科書的な知識だけでなく、実際の現場で見続けてきた「初期症状の真実」と「病院の検査で見落とされがちなポイント」について、分かりやすく解説します。
※出典
・脊髄小悩変性症・多系統萎縮症Q&A (NPO)全国 SCD-MSA友の会編
・脊髄小脳変性症のすべて 日本プランニングセンター
・脊髄小脳変性症マニュアル決定版! 日本プランニングセンター
最初に感じる小さな違和感

「最近、何もないところでつまずくようになった」 「階段を降りるのが、妙に怖い」 「字を書くとき、昔のようにスムーズにいかない」
もし、このような体の変化をふとした瞬間に感じているなら、少し不安な気持ちになられているかもしれません。
特に、お父様やお母様が「脊髄小脳変性症」だった方にとって、自分に現れる小さな変化は、「もしかして、自分も…?」という大きな恐怖につながりやすいものです。
「子供や孫には心配をかけたくないから、まだ言えない」と、お一人で抱え込んでいる方も多いのではないでしょうか。
私たちは恐怖を煽りたいわけではありません。 「早く気づいて、ご両親の世代よりも早く対処し、進行を遅らせるため」の知識としてお役立てください。
脊髄小脳変性症とは?(簡単にいうと)
脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)は、脳の後ろにある「小脳(しょうのう)」という場所の元気がなくなってしまう病気です。
小脳は、「体のバランスをとる司令塔」です。
- まっすぐ歩く
- コップの水をこぼさずに持つ
- スムーズに話す
これらはすべて、小脳が筋肉に「ちょうどいい力加減」を指示しているからできることです。この機能がうまく働かなくなることを、医学用語で「運動失調(うんどうしっちょう)」と呼びます。
主な3つの初期症状チェック
初期症状は病気のタイプや人によって違いますが、多くの患者さんに見られる「3つのサイン」があります。
ご両親の様子を思い出されることもあるかもしれません。
1. 歩き方や姿勢の異常(最も多いサイン)

一番最初に気づくことが多いのが、足元の変化です。
- 歩行のふらつき: お酒に酔ったときのように、千鳥足になる。まっすぐ歩こうとしてもふらつく。
- 感覚の異常: 「雲の上を歩いているような、フワフワした感じ」がすると訴える方が多いです。
- 動作の恐怖: 階段、特に「降りる時」に足がすくんで怖くなる。自転車に乗るのが難しくなる。
- 曲がり角: 急に方向転換しようとすると、よろけてしまう。
2. 手指の変化(手先の不器用さ)
手や指の細かい動きが苦手になります(巧緻運動障害といいます)。
- 字の変化: 字が乱れる、枠の中に収まらない、ミミズのような字になる。
- 食事の動作: お箸が使いづらくなる。お茶碗を落としそうになる。
- 震え: コップを取ろうと手を伸ばした瞬間に、手が震える(これを「企図振戦(きとしんせん)」といいます)。
- 衣服: ワイシャツやブラウスのボタンが留めにくい。
3. 会話や食事の変化
喉や口の筋肉のコントロールが難しくなります。
飲み込み(嚥下障害): お味噌汁や水などの液体で、むせやすくなる。
話し方(構音障害): 呂律(ろれつ)が回りにくい。酔っ払ったような話し方になる。言葉のリズムが不規則になり、急に大きな声が出たりする。
その他の症状(タイプによる違い)
脊髄小脳変性症にはいくつものタイプ(型)があり、それによって初期症状の特徴も少し変わります。
- ・自律神経の乱れ(多系統萎縮症など)
立ち上がった瞬間のめまい(立ちくらみ)、トイレが近くなる(頻尿)、尿が出にくい、ひどい便秘など。ふらつきよりも先にこれらが出ることもあります。 - ・目の異常
物が二重に見える(複視)、目が勝手に揺れる(眼振)。 - ・足のつっぱり(痙性対麻痺など)
ふらつきよりも、足が棒のように突っ張って歩きにくくなる。 - ・動きの遅さ
動作がゆっくりになる、筋肉がこわばる(パーキンソン症状)。
遺伝と発症年齢について
このページを読んでいる方の中には、「親もそうだったから、自分も覚悟している」という方がいらっしゃると思います。
脊髄小脳変性症の多くは遺伝性で、ご両親と同じ症状が出るため、患者さんご自身が一番よく理解されていることが多いです。
しかし、注意していただきたいのは、「親と同じ年齢で発症する」とは限らないということです。
タイプによっては、遺伝子変異の不安定さから、世代を重ねるごとに発症年齢が若くなる傾向があり、進行が早まることがあります(これを「表現促進現象」といいます)。
「親は60代だったから、自分もまだ大丈夫」と思っていても、50代で症状が出始めることもあるのです。
逆に、ご両親のどちらかが若くして別の理由で亡くなっている場合や、離別してその後の状況が分からない場合、遺伝性だと気づかれていないケースもあります。
病院の検査で見つかりにくい理由と、当院のアプローチ
※ここが非常に重要なお話です。
病院に行くと、遺伝子検査やMRI検査を行います。MRI検査は、現在の小脳の状態を把握する上で不可欠な検査ですが、初期発見において一つの限界があります。
MRIは「形」を見るもの
MRIは、小脳が「萎縮(いしゅく=縮んでしまうこと)」したかどうかを確認する検査です。
実は、画像でハッキリと小脳の萎縮が確認できる段階では、すでに症状が進行してしまっているケースが少なくありません。
大切なのは「機能」を見ること
小脳が物理的に縮んでしまうずっと前に、小脳の「働きが悪くなる(機能低下)」段階が必ずあります。
私たちは、病院での検査を補完するため、体の細かな変化をデータで捉える独自の分析手法を導入し、初期の機能低下のサインを見逃しません。
- サーモグラフィで「筋肉の活動」を見る
小脳の不調は自律神経にも影響を与え、特定の筋肉の血流異常(温度変化)として現れます。
動きが悪くなっている筋肉は、血流が落ちて温度が下がるので、画像に写らない神経のわずかな不調を、体温の変化から客観的に見つけ出します。 - モアレトポグラフィで「重心バランス」を見る
ふらつきは、小脳が司る平衡感覚の不調から生じますが、ふらつきを自覚する前に、背中の筋肉の緊張バランスは崩れ始めます。
モアレトポグラフィで体の傾きや背中の筋肉の緊張バランスを数値化し、初期の崩れを詳細に分析します。

「病院では様子を見ましょうと言われた」
そのような状況でも、不安なまま時間を過ごす必要はありません。
小脳が物理的に縮んでしまうのを待つのではなく、機能が落ち始めた初期の段階で治療を開始する。
これこそが、私たちがたどり着いた、進行を遅らせるために最善と考えるアプローチです。
「子供に迷惑をかけたくない」あなたへ
「できるだけ長く、自分の足で歩きたい」 「子供や孫に、元気な姿を見せ続けたい」
そう思うからこそ、初期のうちに対処を始めることが大切です。
当院では、独自の検査に基づいた東洋医学的なアプローチで、ふらつきを軽減させたり、進行を停滞させたりする取り組みを行っています。
薬だけに頼らない、あなたのための選択肢があります。
以下のページでは、当院の施術とリハビリを併用することで、実際に症状がどう変化するのかを詳しく解説しています。
→ 脊髄小脳変性症は、鍼灸治療で良くなりますか?|難病の鍼灸治療
「今、自分の症状はどの段階にあるのか」「進行を遅らせるために具体的に何をすべきか」といった疑問に、専門家として的確にお答えします。お一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
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